静岡県 茶産出額史上初1位陥落

健康

ご無沙汰しておりますsmallfarmerです。

農林水産省の統計調査で最近興味深い発表がありました。

茶どころで有名な静岡県が2019年のお茶の産出額で記録が残る1970年から50年近く続いた首位の座から陥落したとのことです。では、代わって首位の座についたのは、自分には意外だったのですが、宇治茶や狭山茶で有名な京都府・埼玉県でもなくて鹿児島県でした。静岡県はここ何年もこの鹿児島県の猛追を受けていたのですが、ついに首位の座を明け渡すことになりました。静岡県のお茶生産者の方の衝撃やいかばかりでしょうか。

静岡県のお茶といえば、自分には新幹線の車窓から見える茶畑の、特に雄大な富士山をバックにしたイメージがあり、日本一の風格を勝手に感じたりしていましたね。それにしても今まで2位の鹿児島県の茶どころとしてのイメージは薄いです。2位じゃだめなんですか?!・・・。

お茶(煎茶)ができるまで

同じ茶樹から摘まれた茶葉でも、その製法によって味も見た目も異なるお茶が仕上がります。

茶樹から摘採されたお茶(生茶葉)を保存に適した状態まで加工したものを「荒茶」と呼びます。煎茶は、「蒸す→揉む→乾燥」の段階を経て製造されます。摘採した生茶葉を放置すると、ただちに発酵が始まるので新鮮なうちに、蒸気によって加熱します。これにより茶葉に含まれる酸化酵素の働きが抑制され発酵を防ぐ他、茶葉の緑色を保ちながら草木の青臭さを取り除くことができます。

なお、お茶は発酵の度合い(製法)で、「不発酵茶」:茶摘み後すぐに蒸したり炒ったりすることで発酵をストップさせたもの(煎茶、ほうじ茶、抹茶など)、「半発酵茶」:茶摘み後、一定期間発酵させ、その後発酵をストップさせたもの(ウーロン茶など)、「発酵茶」:茶摘み後、完全に発酵させたもの(紅茶など)などに分類されます。

各産地から仕入れた荒茶は、選別・整形、火入れ、合組(ブレンド)の過程を経て煎茶として仕上がっていくのです。

お茶の消費・需給動向(農林水産省「茶を巡る情勢」より)

以下の価格、消費需給動向によりお茶の生産は低迷しています。

・お茶の価格については、ペットボトル緑茶飲料の需要の伸びに呼応する形で、平成16年まで上昇したが、その後の需要の停滞により、荒茶価格も低迷。

・また、お茶の価格は①茶種による価格差、②茶期による価格差等が大きく、これに品質に応じた価格差が加わるため、農家によっては大きな差。

・緑茶の消費量について、緑茶(リーフ茶)は減少傾向、ペットボトル入り緑茶は増加傾向で推移している。

・ 緑茶(リーフ茶)と茶飲料の1世帯当たりの年間支出金額の合計は、近年、約1万円で推移しているが、リーフ茶と茶飲料の支出金額が逆転するなど簡便な形態での飲用にシフトしている。

・他方、炭酸飲料、ミネラルウォーター類、コーヒーは、消費が拡大。

・ 茶園の約3割が、樹齢30年以上と老園化し、収量、品質の低下が懸念。など

私がお手伝いしている農園には茶畑があります。園主に伺った話では、ペットボトル入り緑茶飲料に使われる茶葉のメイン原材料には低価格のものを選ぶメーカーが多く、そのため低価格の茶葉に需要が集中して、全体的な市場価格が引き寄せられ、緑茶(リーフ茶)の価格は下がってしまい、作ってもペイしないそうです。

お茶は健康食品(静岡県経済産業部「こどもお茶小辞典」より)

お茶には、 カテキンやカフェインの他、 テアニンなど、 他の食品にはあまり 含まれていない、お茶特有の生体調節機能を持つ成分が含まれています。

お茶に最も多く含まれているカテキン類は、お茶の苦みや渋みのもととなるもので、いろいろな健康機能を持つ成分として注目されています。代表的な効能・効果は次のとおりです。

(1)抗酸化作用

カテキンの健康効果で最も注目されるのが強力な抗酸化作用です。 体内でいろいろな悪さをする「 活性酸素」ができるのを防いだり 、発生した活性酸素をすばやく 消す働きがあります。活性酸素は、「 悪玉酸素」とも言われ、無差別に体の組織を傷つけて、生活習慣病(メタボリックシンドローム)や老化を引き起こす原因となります。お茶に含まれるビタミンC にも強い抗酸化作用があり ます。

( 2 )高血圧の予防

高血圧症は、心筋梗塞や脳卒中など、命に関わる生活習慣病の原因となる症状です。高血圧の原因は、その人の生活習慣や遺伝体質など様々な要因によって引きおこされます。その発症のメカニズムの一つは、血液中のアンギオテンシノーゲンという物質が、腎臓に含まれる酵素によって、強い血管収縮作用を持つ物質に変わるからです。カテキンには、この酵素の働きを低下させて、血圧の上昇を抑える 作用があります。このことからお茶を飲むことは高血圧の予防に効果的といえます。

( 3 )肥満の予防

食品に含まれる炭水化物、特にでんぷんやショ糖は、唾液に含まれる酵素(α-アミラーゼ)や小腸から分泌される酵素( スクラーゼ)によって分解されて、ブドウ糖( グルコース)になって吸収されます。お茶のカテキンは、これらの酵素の働きを抑えてでんぷんやショ糖がブドウ糖になるのを防ぎ、その結果、ブドウ糖から作られる脂肪を減少させて肥満を防止すると考えられます。

お茶のような保健機能食品は、毎日の食事でとることで生体調節機能を得ることができます。

お茶の持つ効能・ 効果を期待するためには、 毎日飲み続けることが大切で、そのことにより知らず知らずの内に病気を遠ざけ、健康な状態が得られると考えられています。

このように健康効果大なるお茶を意識して、これまで以上に飲んでいきたいです。なお、お茶の生産者さんも海外の需要(アメリカ等で日本茶は人気)に目を付け、輸出で活路を見出されているようです。

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